赤ちゃんの震え・びくつきはなぜ起きる?正常な動きの見分け方と受診の目安、家庭での対処法
あごが小刻みに震える、手がぶるぶるする、突然両腕を広げる。生まれたばかりの赤ちゃんを育て始めたばかりなら、こうした動きに驚いて「赤ちゃんの震えは大丈夫?」と不安になることもあるでしょう。
多くの場合、答えは「はい、大丈夫」です。赤ちゃんの動きは、泣いているときや授乳中、目覚めた直後、眠っているときなどに、思った以上にぎこちなく見えることがあります。
うれしいことに、赤ちゃんの震えやびくつきのほとんどは心配のないものです。体を思い通りに動かす仕組みが、まだ発達の途中にあるために起こります。ただし、よくある動きと、医療機関に相談したほうがよい症状を知っておくと、産後の不安を少し和らげられます。
赤ちゃんはなぜ震えたり、びっくりしたりするの?
生まれたばかりの赤ちゃんは、神経系がまだ十分に成熟していません。神経には、電気信号を正確かつスムーズに伝える「髄鞘(ずいしょう)」という保護膜があります。生後しばらくは、この髄鞘が発達している途中です。
そのため、脳から脊髄、筋肉へ伝わる信号が少し不正確になることがあります。動きが震えて見えたり、大きく跳ねるように見えたり、うまく協調できなかったりするのはそのためです。これが、新生児の震えがよく見られる理由の一つです。
寒さ、空腹、眠気、興奮、泣くことなどで、震えが目立つ場合もあります。大人なら気に留めない程度の音に、赤ちゃんがびくっと反応することもあります。見た目は大きな動きでも、正常な発達の一部であるケースは少なくありません。
よく見られる正常な動き
あごが小刻みに震える
赤ちゃんの顎の震えは、保護者からよく相談される症状の一つです。特に泣いているとき、不快そうなとき、空腹のとき、寒いときに、下唇やあごが数秒ほど小刻みに震えることがあります。
顔の筋肉をまだ十分にコントロールできないために起こります。着替えの最中や入浴後、激しく泣いているときに気づくこともあるでしょう。赤ちゃんが落ち着いたり、体が温まったりすると、自然におさまるのが一般的です。
多くの赤ちゃんでは、あごの震えは生後2〜3か月ごろまでにかなり減っていきます。明らかなきっかけがあり、短時間でたまに起こる程度なら、通常は過度に心配する必要はありません。
手や腕の震え
手首や手、腕が細かくぶるぶるする動きも、赤ちゃんにはよく見られます。保護者からは「赤ちゃんの手の震え」や「小さなけいれんのような動き」と表現されることがあります。機嫌が悪いとき、空腹のとき、泣いているとき、何かに手を伸ばしているときなどに起こりやすい動きです。
赤ちゃんの眠りには、大人のレム睡眠に似た「活動睡眠」があります。このとき、指がひらひら動いたり、腕がぴくっと跳ねたり、手が短時間震えたりすることもあります。
赤ちゃんが落ち着いたとき、または震えている手足をそっと支えたときに動きが止まるなら、安心材料になります。こうした赤ちゃんの手の震えの原因は、病気というより、神経の発達がまだ途中であることが多いのです。
モロー反射、赤ちゃんのびっくり反射
赤ちゃんのびっくり反射とも呼ばれるモロー反射は、突然の変化に対する正常な反応です。大きな音、急な動き、体を支えている感覚が一瞬変わることなどをきっかけに、赤ちゃんは次のような動きをします。
- 両腕を外側に広げる
- 手を開く
- 腕を体のほうへ戻す
- 短く泣くことがある
これが、よく知られている赤ちゃんのびっくり反応です。ゆっくり寝床に置いたつもりでも、びくっとすることがあります。
モロー反射は新生児期に最も強く、生後4〜6か月ごろまでに、意識的な動きや筋肉のコントロールが発達するにつれて、少しずつ目立たなくなります。
おくるみは、安全な睡眠の方法に沿って正しく使えば、月齢の低い赤ちゃんのびっくりを減らすことがあります。ただし、寝返りの兆候が見られたら、おくるみの使用はやめてください。
おむつ替え中の脚の震え
おむつを外したとき、赤ちゃんの脚が震えていることに気づいたことはありませんか。肌に冷たい空気が触れると、寒さで体が小刻みに震えることがあります。暖かい服を脱いで、急に外気に触れるだけでも、脚がぶるぶるする赤ちゃんはいます。
服や布団をかけて体が快適な温度になると、通常はおさまります。室温を適度に保ち、おむつ替えを手早く行い、すぐにかけられる柔らかなタオルやブランケットを用意しておくとよいでしょう。
ただし、寝床に湯たんぽや電気あんか、電気ヒーターなどを入れるのは避けてください。やけどや睡眠中の事故につながるおそれがあります。
眠っているときのぴくつき
赤ちゃんの眠りは、じっと静かな状態だけではありません。大人のレム睡眠に近い活動睡眠中には、体をぴくっと動かす、手足を跳ねさせる、笑う、しかめ面をする、口を動かすといった姿が見られます。呼吸の速さが少し変化することもあります。
こうした睡眠中の動きは、脳が発達していく過程で見られる正常なものです。寝入りばなや、睡眠の段階が切り替わるときに特に目立つことがあります。
眠っている間だけ動き、目を覚ますと止まるぴくつきなら、通常は心配の少ないケースです。「赤ちゃんが寝ているときに震える原因は何だろう」と感じたときも、活動睡眠による動きかもしれません。赤ちゃんは生後しばらく、この状態で眠る時間が長いからです。
赤ちゃんのけいれんと、よくある震えの違い
通常の震えやびくつきと、病気による赤ちゃんのけいれんは、見た目だけでは区別しにくいことがあります。一つの目安は、動きをそっと支えたときに止まるかどうかです。
一般的な震えや細かなぶるぶるした動きは、震えている手足をそっと支えると止まることがあります。たとえば、震える手を手のひらで軽く包むと動きが落ち着くことがあります。強く握ったり、無理に動きを押さえつけたりせず、やさしく支えるだけにしてください。
一方、けいれんは、手足をそっと支えても続くことがあります。一定のリズムで繰り返す動きが続いたり、明らかなきっかけがなかったりする場合もあります。全身が震えるとは限らず、片方の腕だけ、顔の片側だけ、脚だけに症状が出ることもあります。
家庭で確実に判断する必要はありません。いつもと違うと感じたら、医療機関に相談してください。診察の際には、動きの様子を撮影した動画が役立つことがあります。
赤ちゃんの震えで心配なとき
泣く、寒い、驚く、空腹、目覚める、眠っているといったきっかけと結びついた短時間の震えなら、多くは問題ありません。次のようなパターンに当てはまらない場合は、かかりつけの小児科、産院、助産師、保健師、自治体の相談窓口などに相談しましょう。
次の症状があるときは、早めの受診を検討してください。
- 手足をそっと支えても止まらない、一定のリズムで繰り返す動き
- 時間がたつにつれて、震えの回数や強さ、持続時間が増えている
- 目が一点を見つめたままになる、何度も白目をむく、片側に目が引っ張られるなどの異常な眼球運動
- いつもより極端に眠そう、起こしにくい、体に力が入らない、反応が乏しい
- 哺乳量が少ない、何度も吐く、普段の授乳の様子が明らかに変わった
- 泣く、寒い、目覚める、授乳、睡眠などの明らかなきっかけがないのに震える
- 顔色や唇の色が変わる、呼吸が苦しそう、呼吸が一時的に止まる
長く続く発作のような動きがある、呼吸が普段どおりでない、顔色や唇が青白い、呼びかけに反応しないといった場合は、すぐに119番へ連絡してください。可能であれば赤ちゃんを安全に横向きに寝かせ、周囲の物をどけます。口の中に物を入れたり、体を無理に押さえつけたりしないでください。
心配なときの赤ちゃんの震えへの対処法
赤ちゃんが震えていると、落ち着こうと思っても不安になるものです。もう一度起きた場合は、スマートフォンで短い動画を撮っておくとよいでしょう。できれば赤ちゃんの全身が映るようにし、近づきすぎて動きの一部だけを撮影しないようにします。受診時には症状がおさまっていることも多いため、動画が診察の助けになる場合があります。
次の点もメモしておきましょう。
- いつ始まったか
- どのくらい続いたか
- 泣いていたか、寒そうだったか、空腹だったか、起きかけだったか、眠っていたか
- 手足をそっと支えると動きが止まったか
- 目が開いていたか、目が一点を見つめていたか、目が動いていたか
- 声かけや触れる刺激に反応したか
- その後の授乳と呼吸は普段どおりだったか
動画を撮るために、緊急受診を遅らせてはいけません。まず赤ちゃんの安全を優先してください。
多くの場合は心配のない経過をたどります
では、赤ちゃんの震えはいつまで続くのでしょうか。あごの小刻みな震え、手の細かな動き、モロー反射、寒さによる脚の震え、眠っているときのぴくつきは、乳児期によく見られる動きです。神経系が成熟し、髄鞘が発達するにつれて、体の動きは少しずつなめらかになります。
一般的な赤ちゃんの震えは、生後3〜4か月ごろまでに目立たなくなることが多い一方、モロー反射は生後4〜6か月ごろまで残ることがあります。発達の進み方には個人差があります。
赤ちゃんの普段の様子を一番よく知っているのは、毎日そばにいる保護者です。多くの震えは心配のないものですが、動き方がいつもと違う、次第に強くなる、授乳が悪くなる、目の動きがおかしい、反応が乏しいといった場合は、医療機関へ相談しましょう。不安を感じて受診や相談をするのは、決して大げさなことではありません。
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