赤ちゃんは腕の中では穏やかに眠っているのに、背中がベビーベッドのマットレスに触れた途端、目を見開いて泣き出すことがあります。びくっと体を震わせ、手を広げたり、反り返ったり、激しく泣いたりすることもあるでしょう。
あるいは、ベビーベッドに置いた赤ちゃんが泣き続ける横で、「いったい何がいけなかったの?」と途方に暮れているかもしれません。「なぜ赤ちゃんは置くと泣くの?」と悩むのは、決して珍しいことではありません。新生児期によくある寝かしつけの悩みの一つです。
簡単に言えば、抱っこからベビーベッドへの移動は、赤ちゃんの未熟な神経にとって大きな変化です。抱っこの腕は温かく、揺れがあり、いつもそばにある安心できる場所です。一方、マットレスは平らで動かず、体から離れています。
ベビーベッドに置くと泣くからといって、赤ちゃんがベビーベッドを嫌っているわけではありません。抱き癖がついた、育て方を間違えたということでもありません。多くの場合、赤ちゃんは抱っこから寝かせるときの変化に適応するための手助けを必要としています。
ここでは、新生児の睡眠の原因をすべて並べるのではなく、「抱っこから下ろすと泣く」その瞬間に焦点を当てます。何が起きているのかがわかると、寝かしつけの負担を軽くする小さな工夫が見つかります。
腕の中では穏やかなのに、ベビーベッドに置くと泣く
授乳をして、げっぷをさせ、抱きしめながらゆっくり揺らす。赤ちゃんのまぶたが重くなり、手の力が抜けてきたところで、そっとベッドへ下ろす。
背中がシーツに触れた瞬間。
赤ちゃんがびくっと驚き、両腕をぱっと広げ、顔をしかめて泣き出すことがあります。ベビーベッドに置くと泣く赤ちゃんの中には、マットレスから離れようとするように、体を反り返らせる子もいます。まだ眠っていない場合は、ベッドの中からこちらを見上げながら、ぐずぐず泣くこともあるでしょう。
こうしたことは、夜の寝かしつけだけでなく、夜間授乳の後や昼寝のときにも起こります。完全に眠っているように見えたのに、置いた途端に起きてしまうことも珍しくありません。
赤ちゃんがベッドを嫌がっているとは限りません。眠りを拒否しているのではなく、触れられている感覚や姿勢、体の近さが急に変わることに戸惑っている場合があります。
なぜ赤ちゃんは寝かせると泣くの?
いくつかの原因が重なっていることもあります。どれも乳児期によくあるものです。
1. 体のぬくもりと揺れがなくなる
お腹の中にいた赤ちゃんは、温かく包まれた狭い空間で過ごしていました。お母さんの心音や声を聞き、歩くたびに体の揺れを感じています。完全に平らで、動かない場所に置かれることには、まだ慣れていません。
抱っこには、ぬくもり、適度な圧迫感、揺れがあります。ベビーベッドには、それらが自然に備わっているわけではありません。ゆっくり下ろしていても、新生児にとっては急に体が落ちたような感覚になることがあります。
腕の中ではよく眠っていたのに、抱っこから下ろすと泣くのは、その急な感覚の変化が理由かもしれません。
2. モロー反射で驚いている
モロー反射は、新生児に見られる正常な反射です。体の位置が変わったり、支えられている感覚が急になくなったりすると、両腕を広げ、指を開き、体をこわばらせます。その後、泣き出すこともあります。
特に生後数か月は、寝かしつけ中に置くと泣く、ということが起こりやすい時期です。
おくるみを正しく使うと、落ちるような感覚をやわらげ、腕の動きで目を覚ますのを防げる場合があります。ただし、上半身は適度に包み、股関節と脚は動かせるゆとりを残してください。寝返りをしようとする様子が見られたら、すぐにおくるみをやめます。 眠っている赤ちゃんは、必ずあお向けにして、硬く平らな寝床に寝かせましょう。寝返りができる時期には、腕を自由に動かせるスリーパーへ切り替える方法があります。
3. シーツの冷たさに驚いている
抱っこの腕や胸元、衣服は温かいものです。一方、室温が低いとシーツは背中にひんやり感じられます。その温度差で、眠りかけた赤ちゃんが目を覚ますことがあります。
マットレスが冷たそうなときは、赤ちゃんを寝かせる前に、短時間だけ湯たんぽなどでシーツを温める方法があります。ただし、赤ちゃんを置く前に必ず湯たんぽを完全に取り除いてください。 手でシーツを確認し、熱くなっていないことを確かめます。
ベビーベッドの中に湯たんぽや電気あんか、電気毛布などを置いたままにしてはいけません。厚着をさせすぎるのも避けましょう。赤ちゃんの体温は、手足ではなく胸や背中に触れて確認します。
4. 空腹、またはげっぷが十分に出ていない
授乳で眠そうになっていても、まだ母乳やミルクが足りないことがあります。また、授乳中に飲み込んだ空気が、体を横にしたときに苦しくなる場合もあります。
腕の中では眠っていたのに、ベッドに置くと泣く。そんなときは、授乳時間がいつもより短くなかったか、途中で気が散っていなかったかを振り返ってみましょう。口を動かして探す、手を口に持っていく、しつこく吸おうとする、といった空腹のサインがないかも確認します。
授乳後はしばらく縦抱きにし、必要であれば背中をやさしくさすって、もう一度げっぷを促します。毎回大きなげっぷが出るとは限らないため、長時間たたき続ける必要はありません。
5. ガスがたまっている、軽い逆流がある
お腹にガスがたまっていると、体を動かしたときや平らに寝かせたときに不快感が強くなることがあります。乳児期は、胃の入り口の筋肉がまだ発達途中のため、母乳やミルクが少し戻る逆流もよく見られます。
授乳後にごくんと飲み込む、湿ったげっぷをする、体をよじる、顔をしかめる、置いた直後に泣くといった様子があれば、こうした不快感が関係しているかもしれません。
ベビーベッドは、何も置かず平らな状態にしてください。マットレスの下に物を入れて傾斜をつけたり、枕やベッドインベッド、姿勢を固定するクッションを使ったりしないでください。
逆流が頻繁に起こる、授乳量が減っている、体重の増え方が気になる場合は、小児科や助産師、保健師に相談しましょう。安全な睡眠の基本は、硬く平らな寝床にあお向けで寝かせることです。
6. 疲れすぎている
昼寝のタイミングを逃したり、起きている時間が長くなりすぎたりすると、赤ちゃんはかえって眠りにくくなります。疲れすぎた赤ちゃんは、激しく泣く、体を反り返らせる、抱っこをしてもなかなか落ち着かない、といった状態になることがあります。
眠いはずなのに目が冴えているように見えることもあります。「赤ちゃんが一人で寝ない」と急に感じるようになったときは、午後の過ごし方や昼寝の時間が影響している可能性もあります。
ぼんやり一点を見る、眉間やまぶたが赤くなる、動きがぎこちなくなる、あくびをする、人の顔や周囲への興味が薄れるといった早めの眠気のサインを見つけましょう。激しく泣き始める前に、照明を落とす、授乳をする、抱っこで静かに過ごすなど、寝かしつけを始めます。
7. 寝かせるタイミングが早すぎる
反対に、まだ眠気が十分にたまっていないこともあります。少し眠そうではあるものの、昼寝をするほどではない場合、ベビーベッドの中で泣きながら起きていることがあります。
長く抱っこをしたり授乳をしたりすると、一時的にうとうとはします。しかし、深く眠る準備ができていなければ、置いたときに目を覚ましてしまいます。
新生児の生活リズムに、すべての赤ちゃんに当てはまる完璧な時刻表はありません。時計だけで判断せず、赤ちゃんの様子を見て調整しましょう。短時間で置くと泣くものの、その後は機嫌よく起きていることが続くなら、寝かせる時間を少し遅らせてみます。反対に、毎回激しく泣くなら、次の睡眠を早めてみましょう。
8. 部屋の環境が合っていない
明るすぎる部屋、急に訪れる静けさ、暑さや寒さも、ベッドへの移動を目立たせる原因になります。
抱っこから寝かせると泣く場合は、抱っこを始める前から部屋を少し暗くし、赤ちゃんが落ち着きやすい環境を作っておくとよいでしょう。一定の音があるほうが眠れる子もいれば、完全な静けさより、家の中の自然な生活音を好む子もいます。
室温は暑くしすぎず、赤ちゃんの胸や背中が汗ばんでいないかを確認します。ホワイトノイズを使う場合は、ベビーベッドから十分に離し、小さな音量にしてください。大人が声を張らないと聞こえないほどの音量は避けます。
9. そばにいてほしい
抱っこを求めるのは、赤ちゃんの発達上ごく自然なことです。泣くことで大人を操ろうとしているわけでも、抱っこで甘やかされているわけでもありません。赤ちゃんは、体から離されることが不安だと、泣くという方法で伝えているだけです。
生後3〜4か月頃までは、抱っこでの昼寝や抱っこひもを使った時間が、日々の生活の一部になっても問題ありません。それによって、将来一人で眠れなくなると決まったわけではありません。
ただし、抱っこひもは説明書どおりに使い、大人が眠くなったら、赤ちゃんを何もない硬く平らな寝床へ移してください。
赤ちゃんを泣かせずにベビーベッドへ置くには
毎回、泣かずに移せるとは限りません。目標は、無理に一人で眠らせることではなく、抱っこからベッドへの変化をできるだけ急にしないことです。
先にベビーベッドを整える
授乳や抱っこを始める前に、必要なものを準備しておきます。
- 硬く平らなマットレスと、サイズの合ったシーツ
- あお向けで寝かせるための安全な寝床
- 枕、掛け布団、ぬいぐるみ、タオル、姿勢を固定する器具を置かない
- 暑すぎない室温と、少し暗めの照明
- 赤ちゃんに合う場合は、あらかじめ流しておくホワイトノイズ
- 寝かしつけ中にも使っているスリーパーやおくるみ。ただし、おくるみは寝返りの兆候がない時期に限る
いつも同じスリーパーを使うと、眠る時間の合図になりやすくなります。特別な効果があるわけではありませんが、同じ流れを繰り返すことで、赤ちゃんは少しずつ眠りの準備を覚えていきます。
シーツの冷たさを安全にやわらげる
マットレスが冷たいようなら、赤ちゃんを落ち着かせている間だけ、シーツの上に湯たんぽを置いておく方法があります。移す前には、毎回必ず取り除いてください。シーツが熱くなっていないことも確認します。
電気パッドでベッドを温めたり、赤ちゃんの体の下や横に暖房器具を置いたりしてはいけません。
眠りが深くなるまで少し待つ
授乳や抱っこの後に移す場合、腕の力が抜け、呼吸がゆっくりになり、顔の表情がゆるむまで待ちます。数分かかることもあります。
その後、すぐに持ち上げず、10〜20秒ほど、赤ちゃんの胸やお腹に手をそっと添えて様子を見ます。こうすると、立ち上がった直後に泣き声が聞こえる、という流れを避けやすくなります。
ゆっくり下ろし、しばらく触れておく
赤ちゃんのお尻と脚からマットレスに触れるように下ろし、続いて肩、頭の順に置きます。置いた後も、胸やお腹に手を1分ほど軽く添えておきましょう。押さえつけるのではなく、静かに触れる程度で十分です。
呼吸と体の動きが落ち着いてきたら、ゆっくり手を離します。
赤ちゃんが少し動いたときは、すぐに抱き上げず、数秒待ってみても構いません。小さなうなり声や身じろぎは、完全に目を覚ましたサインとは限らないからです。泣き声が強くなってきたら、抱き上げてもう一度落ち着かせます。激しく泣くまで我慢する必要はありません。
横向きで落ち着かせてから、あお向けに戻す
赤ちゃんによっては、抱っこの姿勢から一気に平らになることを嫌がります。腕の中で少し横向きに近い姿勢にして落ち着かせ、ベッドに置いた後、そっとあお向けに戻す方法もあります。
最終的な睡眠姿勢は、必ずあお向けです。横向きのまま寝かせてはいけません。
してはいけないこと
毎回、ベビーベッドに置くと泣く状態が続くと、疲れから危険な方法を試したくなるかもしれません。次のことは避けてください。
- 新生児を泣かせたまま放置しない。 生まれて間もない赤ちゃんには、泣き声に応じた世話が必要です。新生児に、泣かせて一人で眠らせる方法を無理に行う必要はありません。
- 赤ちゃんを絶対に揺さぶらない。 気持ちが限界に近づいたら、赤ちゃんをあお向けで安全にベビーベッドへ置き、数分その場を離れて、家族や信頼できる人に連絡しましょう。
- 枕、丸めたタオル、毛布などを赤ちゃんの周りに置かない。 呼吸を妨げたり、熱がこもったりする危険があります。
- 寝姿勢を固定するクッション、傾斜のある寝具、手作りの囲いを使わない。
- ソファや椅子で、赤ちゃんを抱いたまま眠らない。 大人がうとうとしてしまう場所として、特に危険です。
すべての昼寝をベビーベッドで成功させようとしなくても大丈夫です。難しい日は、見守りながらの抱っこでの昼寝を選ぶことも現実的な方法です。
どこまでが普通? 受診したほうがよい場合
生後数か月の間、置くと泣くことが続くのはよくあります。置くと泣く新生児にどうするか迷うのは当然ですが、抱っこのほうが温かく、近くて安心できるために泣いているだけで、必ずしも病気とは限りません。
成長とともにモロー反射が落ち着き、消化機能が発達し、体の姿勢変化にも慣れてくると、ベッドで眠れる時間が少しずつ長くなる赤ちゃんもいます。
ただし、泣き声が何時間もおさまらない、発熱がある、授乳量が少ない、体重が増えていない場合は、小児科や助産師、保健師に相談してください。呼吸が苦しそう、お腹が張って触ると強く嫌がる、ぐったりしている、噴水のように吐くといった症状がある場合は、早めに医療機関へ連絡します。いつもと泣き方が違うと感じたときも、保護者の直感を大切にしてください。
「抱っこから寝かせると泣く理由」は、意外と穏やかなものかもしれません。温かさがなくなった、移動が急だった、げっぷが足りない、眠る時間が早すぎる、疲れすぎている。あるいは、もう少し抱っこされていたいだけということもあります。
赤ちゃん 夜泣きや、赤ちゃん 泣くことに悩んでも、それは失敗ではありません。赤ちゃん 一人で寝ない、ひとりで寝かせられない赤ちゃんに戸惑う日があっても、悪い寝かしつけをしているわけではありません。小さな赤ちゃんが、抱っこからベッドへの移動を受け入れられるよう、一歩ずつ助けている途中なのです。
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